2024.08.20 子ども教育学科
子ども教育学科「健大広がる未来プロジェクト(健大FP)」の実施
高崎健康福祉大学では、毎年実施している系列高校との高大連携事業、健大パートナーシップ?プログラム(健大PP)に加え、高崎健康福祉大学広げる未来プロジェクト(健大FP)という全ての高校生に公開した講座を実施しております。
子ども教育学科では、今年度7月15日(祝?月)に開催しました。健大FPでは、子ども教育学科の教員が研究者としてアカデミックな専門性を高校生に紹介することで、高等教育機関への導入教育を行うことを目的として実施しています。今回の内容は、特別支援教育に関わる2名の講師より2つの講義が行われました。県内の高校より4名の生徒が参加しました。
1つ目の講義は、村田美和先生より講義「ICT活用による多様性を育む教育について考えてみよう」が開講されました。小中学校で一人一台のタブレット端末が導入され、学校現場では教育方法が大きく変化しています。多様な子どもが同じ教室で勉強していくためのICT活用方法について考えていくことを目標として実施されました。
冒頭では、講師より、大学の授業の醍醐味は知識だけを学ぶことではないこと、さまざまな人とのディスカッションを通して考え方を深めることが大切であると伝えられました。
講義では、タブレットやパソコンなどのICTツールについて、使用方法の可能性と社会生活の中での活用方法を考えていきました。また近年、企業の仕事ではAIで文書を5割作成し、そこから編集するという事例の紹介がありました。これから(現在の高校生たちが社会で活躍する将来)は文章作成のための知識や技術の代わりに、ICTの活用技術が求められる可能性があることを考えるきっかけとなりました。
また講義の後半には、発達障害の事例とICTの活用の可能性について紹介されました。学校教育では、さまざまな特徴を持つ児童生徒に対し一斉授業内の工夫と合理的配慮が必要であることを学びました。現在推進されているGIGAスクール構想によって、どのような人でもフェアな学習環境を得られるためにはどのようなICTの活用が考えられるか、生徒と講師で意見を交わしていきました。
参加した生徒からは、「私も普段学校でICTを活用しているので、高校以外でどのように活用しているのか考えることができた」「ICTの機能が今の学校や、障がいのある人達に役立てているということがわかった」「思っていたよりもICTが活用されていることに驚いた。授業内容が分かりやすく、考える場面や初めて聞く言葉も多かったので充実した授業が受けられました」「ICTの様々な利用方法と障害などについて関連して知れたので、良い機会になりました」などの感想をいただきました。
2つ目の講義は、小竹利夫先生より講義「障がいのある子どもの心に寄り添う保育?教育」が開講されました。保育者?教育者は子どもの表面的な行動だけを見るのではなく、行動の奥にある気持ちを見ることが大切です。近年、教育現場では特別支援に関する知識を持った教員が必要とされています。障がいのある子どもの映像や実習のエピソードから子どもの気持ちを探るとともに、簡単な手話や指文字を学習することを目標として実施されました。
講義の冒頭では、障がいの表記について、さまざまな立場からの異なる意味があることについて説明がありました。そして障がいという社会的障壁(バリア)をどのように取り除くか(バリアフリー)、さまざまなシュチュエーションでの合理的配慮の考え方が紹介されました。それぞれの視点で、点字ブロックなどの物理的な配慮、点字や手話などのコミュニケーション的配慮、そして子どもの状態に対する心の理解に対する配慮などについて学びました。
講義の中では、指文字と挨拶の手話を学びました。講師からの指導の後、お互いに指文字を用いて自己紹介や“しりとり”を行いました。生徒たちは、最初は戸惑いながらも、繰り返し練習することで、笑顔でコミュニケーションをとりながら行うことができました。
また、保育園での映像を繰り返し見ながら、障がいのある子どもの心の動きや気持ちを感じ取ることを体験しました。表面的な行動は目に入りやすいですが、映像を繰り返し観察することで、次第に子どもの隠された気持ちを読み取ることができるようになり、内面を理解する重要性に気づくことができました。生徒たちは、子どもの気持ちの読み取りを間違うと、対応を間違えてしまうことにつながることを学び、保育者?教育者として大切な視点を得ることができました。
参加した生徒からは、「指文字を丁寧に教えていただき、すごくわかりやすかった」「コミュニケーションも多くて楽しかった。 指文字でしりとりをしたのも楽しかったです」「子どもたちの気持ちを考えることは思っていたよりも難しく、理解してもどのような対応を取るべきか考えさせられた」「模擬授業のような感覚で講義を受けることができて、自分も大学生になったらこういった授業をもっと本格的に受けることができるのかなと思って、これからが楽しみになりました」などの感想をいただきました。
今回の講義を通して、参加した高校生たちにとっては保育者?教育者を目指すための学びの第一歩となったことと思います。大学進学や進路選択の上で、健大FPでの大学教員からの講義は専門的な学習をイメージできる貴重な機会となったと思います。今後、広く高校生を対象とした導入教育として、高校生たちの進学後の学習をスムーズに展開できるものとなるよう、より一層の充実を図っていきたいと考えています。